★★★ 1969年(4) ★★★
♪風のささやき
♪風のささやき
* 螺旋が描く環のように、車輪が回転するように円く、いつまでもくるくる回る糸車のように果てしなく回り続ける
山肌を転がり落ちる雪だるまのように、カーニバルの風船のように、月の周りを廻るメリー・ゴーランドのように
**文字盤の上を時を刻んで行く秒針のように、この世は空間の中を静かにくるくる回り続けるりんごのようだ
誰の心の中にも潜んでいる風車が描く環のように
トンネルを辿って洞穴を奥深く行っても、そこはまだ陽も差し込まないトンネルの中のように
半ば忘れかけた夢の中で回り続ける回転ドアのように、流れの中に誰かが投げ込んだ小石が作りだす波紋のように
**
ポケットの中でじゃらじゃら鳴る鍵のように神経を苛立たせる言葉
どうしてあっという間に夏は終わってしまったのだろうと、誰が言ったのかさえ思い出せない
砂浜に残された恋人たちの足跡、指で弾いたような遠くの海鳴り
廊下に飾られた絵、あるいは歌の断片、名前も顔もはっきり思い出せない人たちはどこの誰なのだろう
それが過去の事だと分かった時、秋の木の葉の色が彼女の髪の色に変わったことに突然気付くのだ
*
心象が解きほぐされるにつれ、心の中の風車がぐるぐると環を描く
♪雲にのりたい
♪恋人 ♪雨
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