★★★ 1967年(2) ★★★
♪青い影
軽くスキップしながら踊っていたら 車輪をひっかけカートが部屋の隅まで飛んで行った
船酔いみたいに気分が悪いのに見ている者はもっとやれと言う
部屋の中は一段と騒がしく天井が飛んでしまうかと思うほどだ 酒をもう一杯注文したら、ウエイターは盆ごと持って来た
* 粉屋の身の上話が長くなるにつれ 最初は青白かっただけの女の顔からだんだん色が消えて行った
「わけなんてないけど、真実なんて簡単に分かるものなのよ」と女は言う
でも陸を目指す16人の処女の一人に彼女をしないように僕はトランプから抜けた
でも目は確かに開いているんだが、まるで何も見えてない感じだった
*
※ここの情況はdrugを踏まえて捉えるべきと言われています。つまり粉屋(miller) はその筋の人等。
※大学を中退した頃、大手企業に面接に行ったことがある。面接終了後、同じ日に受けに来ていた4,5人と喫茶店に行った。
こういう事には率先してやるリーダーが要る。その時は近大出の愉快な男だった。
もう二度と会うこともないだろうと思いつつも一時間ほど駄弁っていた。その時店内には「青い影」が流れていた。
♪ジョージー・ガール ♪マシュケナダ
♪男が女を愛するとき ♪春がいっぱい
♪パタパタ
'70年代、就活をしていた時期があった。
ある夏の日、行く当てもなく、気がつくと堺東駅で下車していた。駅前のロータリーには午後の陽射しが容赦なく照りつけていた。
そうしてロータリー全体を包み込むように、人の思考を奪うほどにミリアム・マケバの「パタパタ」が流れていた。
足は目的もなく南に歩を進めていた。バス停を二つほど通り越すと小さな本屋があった。
何ということなく、しかし、あたかも目的の本を探すがごとく装いながら中に入っていった。
すぐ後から若い女が入ってきた。自分と同じか少し年長に見えた。OLとも若奥さんとも見えた。
女の視線は陳列台に並べられた本の上を追っていて一度も顔を上げようとはしなかった。
一瞬目があった。幾分細めの涼しい目をしている。小学生の頃、姉の同級生に似た眼差しの子がいた。
それ以上、間が持てず仕方なく本屋を出た。女も後から出てきたようだった。しかし後を振り返ることはできなかった。
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