♪ワールド･オブ･エレガンス

　｢ラブ･ワールド｣は､ファッシヨンのワコールがスポンサーのＦＭ放送番組｢ワールド･オブ･エレガンス｣
　のテーマ曲です。ジェット･ストリームのお昼版といった感じですが､当時はホストの細川俊之の低音の
　ナレーションは城達也より印象的でした。
　民放のＦＭ放送が始まった時期で､「週間ＦＭ」｢ＦＭfan」といったＦＭ週刊誌が何冊も出ていました。
　僕は毎週｢ＦＭレコパル｣を購入して、一週間の番組表からオープン・デッキに録音する番組をチェック
　したものです。平和で長閑な時代でした。



♪ジェット・ストリーム

　僕は小さい頃、空を飛ぶことに強い憧れがありました。
　小学校への行き帰り、大空を飛ぶ旅客機や、一直線の白を描いて空の青を突き進むジェット機を見て
　あんなに自由に、我が物顔に空を飛び回れたらどんなに好いだろうなぁって、いつも思っていました。
　しかし小説家になりたいと思ったことはあっても、パイロットになることは思ってもみませんでした。
　可能性を言うならパイロットの方が容易でしょう。でもパイロットになるには当面の勉強が大変です。
　怠け者の僕は無意識にそれを避けていたのです。そして当面はだらだら出来る方に懸けていたのです。



♪アダージオ

　* seni seviyorum ＝I love you

　そうまさに僕たちはこの為に生きている。僕たちにはこれが唯一なのだ。生を受けた唯一の目的なのだ。
　政治や経済、科学、哲学、宗教、芸術、ノーベル賞的発明・発見など、凡てはこれに隷属する些末事にすぎない。
　今、窓の下を颯爽と胸を張って職場に向かって歩いている彼女も、生を与えられた究極の目的、或いは使命はこれ以外にない。
　男×女＝子供
　これが、この世の一切の根幹となるものである。
　この原理に照らしさえすれば、如何なる問題も何が重要で、何を最優先すべきかが極めて明瞭に見えてくる。

　遠い将来、太陽が滅するとき、二つの線が寄り添う人をやめ、原初のように一つの線を遺伝子は選択し
　太陽系からの脱出を図るかも知れない。
　そうして新たな太陽を求めて、他の銀河で再び一からやり直すのだ。
　それまではこの等式がこの世の根本原理なのだ。



♪君の海に



♪エピタフ

　ひび割れた壁に書かれし予言者の言葉　死の踏み台の上に注がれた眩い太陽のきらめき
　悪夢と幻想が人の心をかき乱し　沈黙は叫びに呑み込まれ　一人として頭上に月桂冠を戴く者はない

　ひび割れた凸凹道を這い進むとき　「混迷」という文言が僕の墓碑銘となるだろう　
　上手くいけばふんぞり返って笑っていられる　でも明日は泣いている自分が見える　泣き叫ぶ自分が
　運命という鉄の扉の狭間に時の種子が播かれ　名ある者なき者の手により水が注がれた
　法を定める者がいなければ知は死への介添人となる　全人類の運命は愚者の手に委ねられているのだ